面白いミステリー小説、おもしろい傑作ミステリー小説は『模倣犯』宮部 みゆき(著)だ。
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。
自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?
いったい彼女は何者なのか?
謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。
山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
社会派ミステリには2つの要素がある。
一つは純粋にミステリとしての謎解きの面白さ。
そしてもう一つは社会の影を映し出す鏡の役割。
宮部みゆきはこの二つの要素を兼ね備えた秀作を 世に多く送り出してきている現代を代表する作家だが、 僕は彼女の作品の中でも「火車」が一番だと思っている。
物語は一人の女性の謎めいた失踪から始まる。
そしてそれを追う主人公は彼女の過去を探るうちに、 一つの信じられないような真実に辿り着く。
カード破産、戸籍、家族の形・・・
いくつものテーマが織り込まれながら、 謎解きに向かって進むストーリー。
必読の一言に尽きる。
カードやサラ金地獄を背景に描かれる、現代の人間の悲劇。
読み終った時、言葉に出来ない割り切れなさを感じた。
哀しいようないらだち。それは何だったのか。
本当に悪いのは、罪を犯した犯人ではなく、その人を犯罪へと追い込んだものたち。
しかし裁かれるのはいつもその人だけで、犯罪へと追い込んだものたちは、その後も、何も変わらずに続いていく。
一体、誰が彼女を責められるのか。
誰も彼女を救えなかったのに。
そして読者には、その現場に居合わせてしまったような緊迫感漂うラストシーンが待っている!!
宮部みゆきの最高傑作で超おすすめのミステリー小説です。(社会派小説でもある。)
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